ききょうの蕾がふくらんでいる
指で触れると
なにかがぱんぱんに詰まっている
私はある日
一瞬気を失って倒れ
それからというもの
めまぐるしく身の回りが入れ替わりつつある
もう限界にきていたものがこわれ
必要のないものが終わり
保っていたバランスが大きく変わっていく
それは
ぐらぐらと揺れるめまいとともに
身の回りにあったものが
突然 崩れ落ちていくように
しがみついていたものは
ただの思いこみだったと知らされるように
あまりにもあっけなく持ち去られていく
その一方で
別の新しいものが現れ
よりスムーズな流れが始まり
次のステージへが与えられていく
次の役割はこれだよと
無言で知らされるように
これまでに見なかった波が
間髪いれずに拾い上げていくように
思いもかけなかった転換がくり広げられる
その移り変わりは
意識を失ったあの一瞬に
まるで誰かがスイッチが切り替えたように
見事なタイミングで展開を見せる
今 そんなひとつの時を迎え
日常があっという間に塗り替えられている
私たちの世界
不可能と思えたことが
自然に可能になっている
隠れていたものが
明るみになっている
私が気を失ったあの瞬間は
いったいどれほどの時間を凝縮していたのだろう
知らない間に
私たちはどこへ運ばれていたのだろう
いや
私たちは知っている
それはみずからが望んでいたことなのだと
ひそかに思いの種を
培養していたのだと
ききょうの蕾がふくらんでいる
指で触れると
宇宙の深遠な時間が
ぱんぱんに詰まっている
もうすぐはじけるあの瞬間を
待ちかまえているように
2014.6.23